【自己破産】破産・免責不許可事由をわかりやすく解説

皆様、こんにちは。かかりつけ弁護士チャンネルの庄司諭史です。

今回は、破産手続きにおける最も重要なテーマの一つである「免責」について、その意義と、免責が認められない「免責不許可事由」、そして希望の光となる「裁量免責」について詳しく解説いたします。

破産手続きにおける「免責」とは

破産手続きには、主に二つの重要な側面があります。一つは、破産者様(債務者)の財産をお金に換え、全ての債務を完全に満たすことはできなくとも、最低限の分配を債権者様に行うという手続きです。

そしてもう一つ、経済的に立ち行かなくなった方にとって最も重要になるのが「免責手続き」です。免責とは、文字通り、破産者様が抱える借金の責任を免れさせる(チャラにする)ための手続きを指します。免責を得て生活を再建できるかどうかが、破産手続きを行う最大の目的となります。法律上、破産手続きを経て原則として免責が認められ、借金を支払う義務はなくなります。

免責が認められない「免責不許可事由」

しかしながら、例外的に免責が認められないケースも存在します。これが破産法に定められている「免責不許可事由」です。免責不許可事由に該当すると、たとえ破産を申し立てても、借金を免れることはできません。破産法には11項目の法定事項が定められていますが、実務上の重要度に基づき分類すると、主に以下の4つのカテゴリーに分けられます。

1. 裁判所に対して迷惑をかけた行為 免責の許可・不許可を判断する裁判所に対して、絶対に避けるべき行為が「虚偽報告」です。裁判所に対して嘘をつく行為は、不許可事由の最も大きなポイントとなり、避けなければならない部分です。

2. 破産管財人に対する妨害行為 破産管財人は、裁判所から選任され、破産者様の財産状況や破産に至る経緯を調査する役割を担います。管財人に対し、調査を妨害したり、資料の提出や報告を怠ったりする行為は、免責不許可の方向に大きく近づきます。管財人は、最終的に免責に関する意見を裁判所に具申する強い立場にあります。

3. 債権者に対する詐欺的・直接的な迷惑行為 これは、単に借金を返済できなくなることとは異なり、特に悪質とみなされる行為を指します。具体的には、支払能力がないと分かっていながら、クレジットカード等を利用して商品を購入し、それを転売して現金化する(換金行為)といった詐欺的な行為です。このような行為は、債権者様からの強い反発を招き、免責に対する「異議」として裁判所の判断材料となるため、免責不許可事由にかなり強く影響してきます。

4. その他(浪費やギャンブルなど) 破産に至る一般的な原因である、ギャンブルや過度な浪費といった行為も、免責不許可事由の一つです。例えば、FXや有価証券などの投機的な目的で借入金を費消する行為は「浪費」に該当します。これらは免責不許可事由ですが、他の重い事由(虚偽報告や詐欺的行為)と比較すると、裁判所は「今後の生活再建のためにはやむを得ない」と判断し、比較的柔軟に判断される傾向にあります。

裁量免責という希望の光

もし免責不許可事由に該当する行為があったとしても、「絶対に免責が認められない」というわけではありません。免責不許可事由には重いものと軽いものがありますが、不許可事由が存在したとしても、裁判官の裁量によって免責を許可してもらえる制度があります。これを「裁量免責」と呼びます。

裁量免責とは、裁判所が破産者様の生活再建を支援するために、「この人には免責不許可事由があったとしても、借金を帳消しにして生活を立て直させてあげても良い」と判断し、免責を認めることです。

例えば、多額の投資による浪費や、一部の換金行為があったとしても、裁判所に対して心から反省し、将来きちんと生活を立て直すという強い意思をアピールできれば、裁量免責が認められる可能性は残されています。

裁量免責を獲得するための準備

裁量免責を得るためには、裁判所に対し、今後きちんと生活を立て直し、健全な生活を送っていけることを示す必要があります。そのための具体的な準備として、以下の点が重要になります。

1. 深い反省と再出発への決意を示す 最も重要なのは、自身の過去の過ちを深く反省し、二度と同じことを繰り返さないという強い決意を裁判所に示すことです。実務上は、破産者様ご自身で深く反省し、その内容をまとめた「反省文」を作成し、裁判所に提出するという対応をとることが多いです。

2. 財団組入れによる反省の具現化(個別検討事項) 稀なケースではありますが、破産者様の行った行為が非常に重い、あるいは債権者への被害が大きいと裁判所が判断した場合、反省の姿勢を示すために「財団組入れ」を行うことがあります。これは、破産者様が生活の範囲内で貯めた金銭の一部を裁判所に納付し、それを債権者様への弁済(配当)に充てることで、反省の意を具体的に示す方法です。これは事案によって判断が分かれるため、専門家と相談して慎重に進める必要があります。

専門家へのご相談を

免責不許可事由に該当する行為があったとしても、裁量免責によって救済される可能性は十分にあります。しかし、裁判所への報告内容や反省の示し方は、個別具体的な事情によって異なります。諦めずに生活再建を目指すためにも、まずは経験豊富な専門家である弁護士にご相談ください。当事務所では、破産・免責に関するご相談を随時承っております。