【自己破産】自己破産したら全部没収!?手元にのこせるもの、残せないもの。弁護士解説
自己破産で「すべて没収」は誤解?手元に残せる財産と残せない財産を弁護士が徹底解説
自己破産を検討される際、「今持っている財産がすべてなくなってしまうのではないか」「生活必需品まで取り上げられてしまうのでは」といった強い不安を抱かれる方は非常に多いです。確かに、自己破産の手続きでは、債権者への配当のために一定の財産を処分する必要があります。しかし、結論から申し上げますと、「財産がすべてなくなる」というイメージは誤りです。実際には、皆さんが思っている以上に多くの財産を手元に残せる可能性があります。
本稿では、自己破産の手続きにおいて、ご相談者様が特に心配されがちな財産について、残せるのか、残せないのかを弁護士が詳しく解説いたします。
1.残すことが難しい代表的な財産
まず、残念ながら手元に残すことが難しい、あるいは処分が必要となる財産についてご説明します。
マイホーム(自宅)
マイホーム(家)は、非常に大きな財産であるため、自己破産の手続きをする以上、これを手元に残すことは極めて困難です。財産を整理する必要が出てきます。
処分方法としては、大きく分けて「任意売却」と「競売」の2つが考えられます。競売とは、ご自身の予定とは異なり、強制的に売却されてしまう場合を指します。一方、任意売却は、ご自身で仲介業者を見つけ、流れに沿って売却を進める方法です。いずれにせよ、マイホームは売却しなければならないという結果になるでしょう。
高級時計や美術品などの高額な贅沢品
財産価値が高いと判断される高級品も、原則として残すことはできません。価値の判断は金額によりますが、例えば100万円といった高額な時計は、高すぎると判断され、破産手続きにおいて残すことはできません。これは、その財産をお金に換えて、債権者へ返済(配当)する必要があるためです。
2.手元に残せる可能性が高い財産
一方で、生活維持のために重要であると認められたり、財産価値が低かったりするものは、手元に残せる可能性が高まります。
比較的安価な高級時計
高級時計であっても、金額によっては残せる可能性があります。例えば、10万円程度の時計であれば、他の財産との兼ね合いにもよりますが、残せる見込みは十分に考えられます。しかし、これ以上高額になってくると、お金に換えて皆さんに返してほしいと言われるかもしれません。
スマートフォン
スマートフォンは現代の生活に密接に関わっており、その取り扱いは気になるところでしょう。
一括で購入している場合 スマートフォンを一括で購入している場合は、基本的には残せる方向性で考えられます。破産手続き上、裁判所から文句を言われることは基本的にはありません。生活に使用するという点や、中古の流通価格を考慮すると、金額的に(十数万円程度)であれば、手元に残しておいてもらうという対応が取られることがあります。
分割で購入している場合 特に注意が必要なのは、スマートフォンを分割払いで購入しているケースです。分割にしている場合、裁判所からスマホを召し上げられることはないのですが、代金を支払っている会社(債権者)が問題となります。債権者が「スマホを持っているなら、うちの借金の代わりとして持っていきたい」と主張してくることがあります。この場合、破産手続きとは関係なく、購入したところにスマホを返却しなければならないという事態が発生する可能性があります。
冷蔵庫などの生活必需品
冷蔵庫やその他の生活必需品は、「差押え禁止財産」に該当する可能性が非常に高いです。差押え禁止財産とは、その人が生活をしていく上で必要不可欠なものであり、強制執行などでも持っていけないと定められている財産です。なぜなら、生活に必要なものまで取り上げてしまうと、その人の生活ができなくなってしまう可能性があるためです。
例えば、30万円で買った新品に近い高めの冷蔵庫であっても、それが家の中で唯一の冷蔵庫であり、食べ物の保存に欠かせないものであれば、「生活に欠かせない」と判断されます。結果として、多少高価であっても、今回の破産手続きでは処分対象とされない可能性が非常に高いでしょう。
3.現金・預貯金の上限は99万円
現金(げんよきん)や銀行に預けている預貯金(貯金)についても、残せるかどうかは金額に大きく左右されます。金額が少なければ少ないほど、破産手続きで持っていかれることはなくなってきます。
現金・預貯金のみに限定して見た場合、他の財産との兼ね合いもありますが、現状では最大で99万円までは手元に残すことができる方法があります。これは、破産管財手続きというものを利用し、きっちり99万円まで残すための措置を取ることで可能となります。
しかしながら、99万円を超過する部分については、残念ながら手元に残すことはできません。
4.まとめと弁護士への相談の重要性
自己破産をすると「全部なくなる」というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、実際には、マイホームなどの高額財産を除き、生活必需品や一定額以下の現金・預貯金(最大99万円)は手元に残せる可能性が高いです。予想よりも残るというイメージを持っていただければ幸いです。
ただし、財産が残せる場合であっても、その事実をきちんと申告せず、財産を隠してしまうと、裁判所から破産手続きが認められなくなるなどのペナルティが下ることもあります。申告すべき財産は正直に、きっちりとしていかなければなりません。
個々の財産の判断や残せる金額については、ケースバイケースで判断が異なることもあります。ご自身の財産をどうしたら良いか、どのような対策を取るべきかは、必ず弁護士に相談し、その中で最善の対策を練っていくことが最も重要です。


