【離婚・男女】不倫慰謝料は何万円?弁護士解説


不倫慰謝料の相場と請求に必要な「不貞行為」の定義・謝料の相場と請求に必要な「不貞行為」の定義・証拠について弁護士が解説

弁護士の庄司諭史です。今回は、不倫が発覚した際に請求できる慰謝料の相場や、裁判で慰謝料請求を認めてもらうために必要な「不貞行為」の定義、そして決定的な証拠について詳しく解説します。

1.「不倫」と「不貞行為」の法的違い

まず、日常で使われる「不倫」という言葉と、裁判で損害賠償請求(慰謝料請求)の根拠となる「不貞行為」という言葉は、意味する範囲が異なります。

不倫:倫理的な問題全てを含み、非常に広い概念です。例えば、異性と手をつないで歩いているだけでも、倫理的に問題があれば不倫と捉えられ得ます。 不貞行為:不倫よりも範囲が狭く、裁判所が慰謝料請求や離婚請求を認める根拠となる行為です。これは、民法上の「不法行為」の一つとして、損害賠償を請求できる行為を指します。

裁判所が不貞行為と判断する際のベースは、基本的に性行為の有無です。

具体的にどの行為が不貞行為に該当し、慰謝料請求が認められるかを分類すると以下のようになります。

行為慰謝料請求の可否(目安)理由・解説
二人での食事認められにくい(バツ)状況にもよるが、請求は困難なケースが多い。
手をつなぐ状況による(三角)性行為を連想させるようなものに近いほど認められる可能性があるが、これだけでは難しい。
キスをするアウトに近い(丸)夫婦生活を破綻させる行為に近いが、性行為がない場合、請求金額は低めに設定されることが多い。
性行為完全にアウト(二重丸)夫婦生活を破綻させる行為にあたり、慰謝料請求が認められる。

2.慰謝料請求の相場と金額を決める要素

不貞行為があったとして慰謝料請求が認められる場合、その相場は経験上、100万円から200万円のレンジに収まるケースが多いです。300万円以上になるケースや、100万円以下になるケースもありますが、この範囲が一般的です。

慰謝料の金額は、以下の要素を組み合わせてケースバイケースで判断されます。

金額を上げる要素(悪質性)

  • 夫婦関係が良好であったにもかかわらず不貞行為に及んだこと。
  • 複数人との不貞行為(多重不貞)。
  • 注意されたにもかかわらず不貞行為をやめなかったこと。
  • 不貞の期間が長いこと(結婚期間との比較も考慮される)。

金額を下げる要素

  • 不貞行為が始まった時点で、すでに夫婦関係が非常に悪化していたこと(例:日常的に殴り合っていた、口を全く聞いていなかった、経済関係がバラバラだったなど)。夫婦関係が破綻に近い状態であれば、夫婦関係を壊した程度が低いと判断され、慰謝料が減額される可能性があります。

3.慰謝料請求のための証拠の重要性

裁判所において慰謝料請求が認められるためには、「不貞行為があった」という事実を主張し、それが真実であることを立証する必要があります。

相手方(不倫した配偶者やその不倫相手)が性行為の事実を認めた場合、証拠は不要ですが、通常は相手方が事実を否定し、争ってくることが多いため、慰謝料請求をする側(原告)が証拠を提出し立証しなければなりません。

もし証拠がなく、事実の立証ができない場合、慰謝料請求側が敗訴してしまいます。

証拠の強さと種類

慰謝料請求を立証する上で、証拠の強さは重要です。

  1. 非常に強い証拠:ホテルへの出入りの写真 二人でホテルに入り、出てくるところがばっちり撮れている写真は、非常に強い証拠となります。ホテル内で性行為があったと推測されるため、相手方が「そうじゃなかった」と主張しても、それが認められることは稀です。
  2. やや強い証拠:宿泊を伴う旅行に関するLINEトークなど 「何月何日にどこそこに旅行に行こう」という約束や、旅行後に「楽しかったね」「あのホテル良かったね」といった宿泊や性行為を強く推測させるやり取りは、証拠としてかなり強いです。
  3. 証拠としては弱いもの
    • 単なる怪しげなLINEのトークや、普通に会話している履歴。
    • 「好き」「愛してるよ」といった愛情を示す言葉だけのやり取り。
    • 二人で手をつないで歩いている写真だけ(他の事情と合わされば価値はある)。

LINEトークを証拠として用いる場合、証明したいのは「性行為をしていたか」という点であるため、直接性行為を証明できない内容は証拠としては弱いと判断されやすい点に注意が必要です。

4.探偵への依頼と費用の考え方

自身で決定的な証拠を得るのが困難な場合、探偵に依頼するという方法があります。

探偵に依頼するメリット 最大のメリットは、対象者を追跡し、証拠が集まる可能性が高いことです。探偵は、調査報告書として、いつ、どこで、どのような行動があったかを体系的にまとめて提供してくれます。この調査報告書は、裁判での有力な証拠(ホテルへの出入りの写真など硬い証拠)となり得ます。

費用対効果とアドバイス 探偵の費用は、調査時間や期間が長くなるほど高くなります。しかし、慰謝料の取れる金額には上限(相場)がありますから、費用対効果を考慮する必要があります。

探偵費用を抑えるためのアドバイスとして、不倫をしている可能性が高い曜日や時間帯、場所など、「怪しい日」をなるべく特定し、探偵に詳細な情報を提供することで、調査時間を短くし、コストを下げる工夫が考えられます。

5.不貞行為と離婚請求の可否

不貞行為が認められる場合、夫婦関係を破綻させる行為であるため、不倫をされた側(有責ではない側)からは、相手が反省や謝罪をしていても離婚請求が可能となります。

しかし、逆に不貞行為をした側(有責配偶者)から、離婚請求をすることは原則として認められません。これは、責任のある側からの離婚請求は、身勝手な主張であると裁判所が考えるためです。

不貞行為に関する問題は、複雑な事実認定と法的な判断が求められます。適切な時期に弁護士に相談し、法的な手続きを進めることが、円満な解決への近道となります。