【自己破産】不景気による売上減少や取引先の倒産、さらにコロナ禍が重なり多重債務に。約690万円の負債を抱えた60代の自営業者が、入念な生活再建準備を経て同時廃止で免責決定を得た事例
■ご相談者
60代/男性/元自営業(建設内装関係)
■借入総額
約690万円(債権者数13社)
■ご相談の経緯
ご相談者のAさんは、長年、建設・内装関係の一人親方として個人事業を営んでこられました。独立当初は順調で安定した収入を得ていましたが、平成後期に起きた金融不況による景気悪化に伴い、ハウスメーカーからの受注単価が大幅に下落。仕事をしても十分な利益が出ない状態が常態化してしまいました。
事業を維持するために大手銀行や公的融資機関から運転資金として融資を受けましたが、今度は取引先の相次ぐ倒産により、売掛金が複数回にわたって回収不能になる不運に見舞われました。さらに同時期、家庭内の深刻な金銭問題をきっかけに離婚。一人で娘を引き取り、生活を再建しようと努めました。
しかし、令和2年からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、内装業の仕事が激減し、収入はほぼゼロになってしまいました。生活費や返済を補うために、公的な福祉金貸付制度なども利用しましたが、ついに返済の目処が立たなくなりました。
長年の返済負担と度重なる予期せぬ困難が重なった結果、借入総額は約690万円(債権者数13社)にまで膨れ上がってしまいました。これ以上の自力での返済は極めて困難であると限界を感じ、当事務所へご相談にいらっしゃいました。
■弁護士の対応と解決結果
弁護士がAさんのこれまでの経緯や現在の資産・家計状況を確認したところ、高価な財産はなく、債務の主な原因も景気悪化やコロナ禍に伴う売上減少と生活費補填であったため、自己破産の手続きを進める方針をとりました。
ここで最大のハードルとなったのが、Aさんに個人事業主(一人親方)としての経歴があった点です。実務上、自営業の経歴がある場合は、原則として「管財事件(破産管財人が選任され、財産調査や処分を行うため、数十万円の追加費用と多くの時間がかかる手続き)」として扱われる可能性が極めて高い傾向にあります。
しかし、Aさんはすでに事業を適切に廃止しており、処分すべき事業資産も残されていませんでした。そこで弁護士は知恵を絞り、手続き費用を最小限に抑えて迅速に解決できる「同時廃止(破産手続きの開始と同時に、財産を処分する手続きを省略して終了させる簡便な手続き)」で進めるための戦略を立てました。
まず、受任後すぐに各債権者へ受任通知を発送し、Aさんへの直接の督促や返済を速やかにストップさせました。 その上で、弁護士はAさんの事業廃止後の実態や現在の家計状況を徹底的に洗い出し、精査しました。すでに事業用資産が完全に整理されていること、現在は会社員として安定した給与所得を得て適切な家計管理が行われていることなどを、客観的な資料を揃えて裁判所に極めて説得力をもって説明できるように入念に準備を整えました。
このように弁護士が法的な知恵と経験を尽くして状況を精緻に整理し、大阪地方裁判所へ自己破産および同時廃止の申立てを行いました。「調査すべき事業資産や不明瞭な資金移動は一切存在しない」ことを申立書において克明に主張・立証した結果、裁判所もこちらの主張を全面的に認め、管財事件を回避。無事に同時廃止での進行が認められました。
申立後も、裁判所からの追加の指示や質問に対して、Aさんと密に連携して速やかに追加書類を提出。この迅速かつ的確な対応が功を奏し、申立てから約1ヶ月という極めてスピーディーな流れで同時廃止決定(破産手続きの開始と廃止の決定)が出されました。
その後、さらに約2ヶ月後には無事に「免責許可決定(借金をゼロにする決定)」が下され、約690万円の借金はすべて免除されました。Aさんは長年苦しんできた返済の重圧から完全に解放され、娘さんとの新しい穏やかな生活に向けて、確かな再スタートを切ることができました。
■弁護士からのアドバイス
今回のAさんのように、真面目に仕事に取り組み、どうにか事業を守ろうとして資金調達を重ねた結果、不景気や取引先の倒産、コロナ禍といった防ぎようのない外部要因によって多額の負債を抱えてしまう自営業者の方は本当に多くいらっしゃいます。 自営業や一人親方の方の中には、「自己破産をすると道具を取り上げられて仕事ができなくなるのでは」「周りに知られて破滅してしまうのでは」と不安に思い、ご相談を躊躇される方が非常に多いです。 しかし、自己破産をしても、生活に必要な道具や一定の現金などは手元に残すことが法律で認められています。何より、毎月の返済から解放されることで、精神的な平穏を取り戻し、確実な生活再建へと踏み出すことができます。
また、個人事業主の破産であっても、弁護士が状況を徹底的に精査し、誠実に裁判所へ現状を説明することで、今回のように高額な費用がかかる管財事件を回避し、同時廃止でスピーディーに解決できる道が開かれます。 返済のために別のところから借りる「自転車操業」に陥ってしまう前に、まずは無料相談で弁護士に状況をお聞かせください。私たちは、あなたのこれまでの努力に寄り添い、一番良い再出発の方法を一緒に見つけます。

