【マンション】滞納管理費等の請求・手続の流れをざっくり解説!
マンション管理組合による滞納管理費等請求の流れと注意点
弁護士の浜田将裕です。今回は、マンション管理組合における管理費等を滞納している区分所有者への対応手続きについて、基礎知識から強制執行までの流れを解説します。
1.管理組合の基本構造と滞納発覚時の初期対応
マンションを購入された方は「区分所有者」となり、その区分所有者で構成されるのが「管理組合」です。管理組合は理事会を設け、理事長名義で、区分所有者に対し管理費等の支払いを求めます。
管理費の滞納が発覚した場合、多くは管理会社からの報告に基づき理事会が動き出します。まずは、管理会社から滞納者へ督促状や手紙を送付するケースが一般的です。それでも支払いに応じない場合、理事長名義で内容証明郵便を作成し、送付します。
2.弁護士への相談と法的準備
理事長名義での内容証明にも反応がない場合、管理組合として弁護士に相談されるパターンが多く見られます。弁護士へ依頼する際は、理事会での決議が必要です。
依頼を受けた弁護士は、改めて弁護士名義で内容証明を送付することがあります。この書面には、支払いがなければ裁判手続きに移行する旨を記載することが一般的であり、この段階で滞納者が支払いに応じ、解決に至るケースも比較的多く存在します。
この過程で、滞納者から「一括では支払いができないため、分割払いにしてほしい」との交渉が入ることもあります。分割払いを認めるか否かは、滞納者の収入・支出状況に関する資料を精査し、支払能力を見極めた上で、最終的に理事会で協議し決定することになります。
3.裁判(訴訟)の提起と判決・和解
交渉が成立しない、あるいは滞納者が支払いに応じない場合、管理組合は裁判(訴訟)を提起します。
訴訟提起の要否に関する決議については、管理組合の規約によって、管理組合総会の決議が必要な場合と、理事会決議で可能な場合があります。規約をよく確認し、必要な手続きを踏んでから、裁判所へ訴状を提出します。
訴状が受理されれば、裁判所は第1回期日を定め、滞納者(被告)に訴状を送達します。滞納者からは答弁書が提出され、その中で分割払いを希望する旨が書かれることもあります。
裁判は、複数回の審理を経て、最終的に裁判所が滞納者に支払いを命じる判決を下すか、あるいは和解による話し合いで解決するかのいずれかとなります。和解が成立した場合は、裁判所で和解調書が作成されます。
4.強制執行による債権回収
判決や和解が成立し、確定した後もなお滞納者が支払いを拒否する場合、管理組合は「強制執行」の申し立てを検討します。
強制執行の方法としては、滞納者の預金口座の差し押さえ、勤務先が判明していれば給与の差し押さえを行うことが可能です。場合によっては、滞納している区分所有者が所有するマンションの一室自体を差し押さえ、競売(公売)によって債権を回収する方法もあります。
5.回収体制を確立するための規約チェックの重要性
これらの手続きを円滑に行い、費用負担を軽減するため、管理規約の確認が極めて重要です。管理組合が滞納者に請求できるのは、管理費や修繕積立金といった「管理費等」のほか、規約に定めがあれば「違約金」や「遅延損害金」が含まれます。
特に「違約金」は、弁護士費用相当額を滞納者に請求するための規定であることが多く、この規定があれば、弁護士費用を管理組合が自腹で負担せずに済みます。国交省の標準管理規約にはこうした規定が含まれますが、古い規約では違約金請求の規定がない場合があるため、その場合は規約改正を強く推奨します。
また、遅延損害金の利率についても、年14%程度が一般的ですが、あまりに高い利率を設定していると無効になる可能性があるため、常識的な範囲であるかを確認しておく必要があります。
6.滞納の長期化がもたらす大きなリスク
管理費の回収手続きは手間がかかりますが、回収を先延ばしにすることは避けるべきです。長期にわたり滞納を放置すると、管理費債権が消滅時効にかかり、回収不能になるリスクがあります。
理事は管理組合に対して善管注意義務を負っており、時効管理を怠った結果、管理費の回収に失敗した場合、損害賠償責任を負わされる可能性もあります。さらに、滞納者がその間に財産を散逸させたり、隠したりしてしまうと、回収は著しく困難になります。
滞納額の大小にかかわらず、督促を適切に行い、滞納が一定額に達した際には弁護士に相談するなど、迅速かつ確実に回収する運用を確立することが、健全な管理組合運営には不可欠です。


