交通事故における財産的損害は、大きく「人損」(人に対する損害)と「物損」(物に対する損害)に分けられます。これらをそれぞれ整理すると以下のようになります。

1. 人損(人的損害)

人損とは、交通事故により人が負った損害、すなわち被害者の身体や健康に対して生じた損害です。これには、治療費や休業損害、後遺障害による損失などが含まれます。

  • 治療費: 交通事故によって負傷した場合の治療費です。診察費、入院費、手術費、リハビリ費用、薬代などが含まれます。
  • 通院交通費: 病院への通院にかかった交通費です。バス、電車、タクシー、自家用車のガソリン代などが対象です。
  • 入院費用・雑費: 入院中にかかる日常生活に必要な雑費や、病院での食費も含まれます。
  • 介護費用: 事故によって介護が必要になった場合、その介護サービスにかかる費用。また、家族が介護を行った場合の代替費用も請求できます。
  • 休業損害: 交通事故により働くことができなくなり、その結果として得られなくなった収入を補填するための損害賠償です。サラリーマン、自営業者、アルバイトなど、すべての職業の収入減少分が対象となります。
  • 後遺障害逸失利益: 交通事故により後遺障害が残った場合、労働能力が低下したことによって将来得られるはずだった収入の減少分を請求できます。後遺障害の等級に応じて、逸失利益の額が算定されます。
  • 後遺障害に対する慰謝料: 事故によって後遺障害が残った場合、その精神的苦痛に対する賠償です。後遺障害の等級に応じて、慰謝料の額が異なります。
  • 死亡による逸失利益: 事故によって死亡した場合、被害者が本来生涯にわたって得られたはずの収入に対する補償です。
  • 死亡に対する慰謝料: 交通事故で死亡した場合、その遺族が受ける精神的苦痛に対する賠償です。

2. 物損(物的損害)

物損とは、交通事故によって物に対して生じた損害を指します。これは車両の修理費や、物品の損壊に対する賠償が該当します。

  • 車両修理費用: 交通事故で損傷を受けた車両の修理費です。事故による損傷部分の修理にかかる費用が対象となります。
  • 代車費用: 車両修理中に代車を利用した場合、そのレンタル費用を請求できます。修理期間の長さに応じて、必要と認められた範囲で費用がカバーされます。
  • 全損時の買い替え費用: 車両が全損となった場合、同等の車両を買い替えるための費用が対象となります。ただし、買い替え時には事故車両の時価が基準となります。
  • 物品の損害: 車両以外の物品が事故で損傷した場合、たとえば携帯電話、カバン、眼鏡などの修理費や買い替え費用も請求可能です。
  • 積荷の損害: 交通事故で運搬中の積荷が損傷した場合、その損失に対する賠償も含まれます。
  • レッカー費用: 事故で自力での移動が不可能になった場合、レッカー移動にかかる費用も賠償対象です。

まとめ

  • 人損: 人の身体や健康に生じた損害を補償する項目で、治療費や休業損害、後遺障害に対する逸失利益などが含まれます。
  • 物損: 物に対して生じた損害を補償する項目で、車両修理費や代車費用、損傷した物品の修理・買い替え費用が含まれます。

これらの損害項目に対して、適切な補償を受けるためには、必要な書類や証拠を揃えることが重要です。